古座川町のサクラ

古座川町内にはもともと、クマノザクラ と ヤマザクラ の二種が自生していたと考えています。また、人間の手によって ❛染井吉野❜ オオシマザクラ ❛河津桜❜ エドヒガン カスミザクラ やその他の栽培品種が植栽されています。これらの種はそれぞれ識別することが可能ですが、交雑によって生まれた雑種と考えられる個体も存在しています。雑種を識別することは難しく、その特徴をよく観察する必要があります。

クマノザクラ とその他の植栽されたサクラが交雑を繰り返していくと、生殖的隔離が失われ、遺伝的撹乱が引き起こされることよって、将来純粋な クマノザクラ が減少していく可能性があることも否定できません。

 

古座川町のように、人と山との距離がとても近い地域において、 クマノザクラ を守っていくのはとても難しいことです。最も確実な方法は、影響を及ぼす可能性の高いサクラ(特に ❛染井吉野❜ ❛河津桜❜ オオシマザクラ エドヒガン クマノザクラの分布域外から持ち込まれた ヤマザクラ など)を クマノザクラ が自生する地域に植栽しないということだと考えています。企業の森などの山林や、公園などの公共の植栽地、個人の庭などにかかわらず、他のサクラを植栽することは避けたほうが良いと思います。

また、すでに植栽されている場合には、可能な限り撤去していくことも考えなくてはいけません。

串本港から見た潮岬

 白く見えるのは野生化したオオシマザクラの花です。海岸沿いに多く植栽されていますが、いたるところで野生化しています。クマノザクラとの雑種と考えられる個体も確認しており、影響を及ぼす可能性が高いサクラのひとつであるといえます。

樹木医としての取組

私は2016年から クマノザクラ に関する調査や研究を始めました。森林総合研究所や和歌山県林業試験場に対しても、積極的に情報や試料を提供したり、現地調査に同行するなど、クマノザクラ やその周辺環境の保全のために、関係各所に働きかけを続けています。

また、より安全で確実に、そして簡単に クマノザクラ の苗を生産することができるよう、栽培方法の研究にも取り組んでおり、実際に植栽するための苗木生産の準備も徐々にできてきました。

 

このホームページの作成や管理も、地域のみなさんに クマノザクラ やその他の古座川町の植物に関する情報を届け、理解していただくための取組のひとつです。

 

このような調査や研究に関わる時間や経費の全てを自己資金でまかなっております。これを支えているのは 横濱大正殖林 のスタッフの理解と協力、そして何より私を応援してくださる古座川町のみなさんの声です。

 

現在は、苗木を育てるための圃場(耕作放棄地など)や、新しい観光名所を作るための植栽予定地の確保、ユンボやトラクターなどの重機の確保が課題となっております。

このページを読んで、お力添えいただけるという方がいらっしゃいましたら、Contactよりご連絡いただけると幸いです。