冬に見分ける

花や葉など、観察できる材料の少ない冬の時期でも、ある程度サクラを識別することは可能です。

冬芽や樹形についてよく観察してみてください。

 

ただし、冬は他の時期に比べて情報量が少ないことは間違いありません。すぐに断定するのではなく、花や葉の時期を待って何度も観察することが大切です。

ヤマザクラの冬芽

 

冬芽をよく見ると、タケノコのようにうろこ状の皮に覆われた状態になっています。この一枚一枚は芽鱗(がりん)と呼ばれており、冬の寒さなどから中にある芽を守っていると考えられています。

冬芽の大きさや形状、芽鱗の開き具合や毛の有無などに、それぞれの種によって特徴があらわれます。

冬の特徴 クマノザクラ ヤマザクラ ❛染井吉野❜ オオシマザクラ
樹形の印象

株立ちが多く

繊細な枝ぶり

一本の幹が

高く伸びやすい

一本の幹で

横に広がる

横に

広がりやすい

冬芽の大きさ 小さい 小さい 大きい 大きい
冬芽の印象

つるっと

している

ガサガサした

感じ

うっすら

毛がある

つるっと

している

芽鱗の向き  閉じる 外向きに開く 閉じる  閉じるかやや開く
幹の印象 繊細で美しい 繊細で美しい ゴツゴツした感じ やや粗い

 

クマノザクラ の冬芽

 

 小さく、芽鱗がきれいに閉じており、全体的にテカテカしてつるっとした印象です。


 

ヤマザクラ の冬芽

 

 小さく、芽鱗が外向きに開いているため、ギザギザした輪郭に感じます。


 

❛染井吉野❜ の冬芽

 

 やや大きく、芽鱗の表面にうっすらと毛があります。ヤマザクラやクマノザクラと比べるとぽっちゃりしています。


 

オオシマザクラ の冬芽

 

 大きく、芽鱗に毛はありません。外向きにやや開くこともあります。

 全体的にどっしりとした印象です。


❛染井吉野❜ や オオシマザクラは 樹木の比較的低い位置からでも横方向にせり出してくる場合が多く、幹が太くなると樹皮は粗めで全体的に乱れた樹形になりやすい特徴があります。

ヤマザクラ と クマノザクラ の幹は太くなっても緻密で美しいことが共通していますが、ヤマザクラ は太く一本の幹がまっすぐ高く伸びる場合が多く、

クマノザクラ は根本付近から複数の幹が出ている株立ち樹形や枝垂れる樹形も多く、繊細な美しい枝ぶりが特徴です。

注意すること

実際にサクラをたくさん見ていると、4種以外のサクラも見つけるでしょう。 ❛河津桜❜ エドヒガン カラミザクラ サトザクラ なども古座川町内で確認しています。

そして忘れてはいけないのが 雑種 の存在です。

雑種 を見分けるのはとても難しいことですが、たくさんのサクラを観察し続けることで、少しずつ小さな違いがわかるようになります。

 

また、クマノザクラを増やしてみたいと思っている方は、栽培方法を知ることよりも、まずサクラの見分け方について知る必要があります。そして交雑による影響についても理解しなくてはいけません。

大切なことをきちんと理解したうえで取り組むようにしてください。