葉で見分ける

クマノザクラの徒長枝と短枝

 

サクラの葉の形状は、1枚ごとの差が大きいため、どの葉を選んで観察するかがとても重要になります。枝には1年の間にたくさん伸びる徒長枝(長枝)と、ほとんど伸びない短枝とがあり、観察には葉が4~5枚ついた短枝を選びます。

クマノザクラの短枝

 

そしてさらに短枝の中から、上から2枚目の葉を選んで観察します。

葉の各部分の名称(写真はクマノザクラの葉)

葉身(ようしん)・・・葉の面の部分のこと

葉柄(ようへい)・・・葉身から伸びた柄の部分のこと

鋸歯(きょし)・・・・葉身の縁のギザギザしている部分のこと

蜜腺(みつせん)・・・葉身の基部付近か葉柄にあるいぼ状の部分のこと

表面(おもてめん)・・ふつう空を向いている側の面のこと

裏面(うらめん)・・・ふつう地面を向いている側の面のこと

葉の特徴 クマノザクラ ヤマザクラ ❛染井吉野❜ オオシマザクラ

小さい卵型 やや細長い楕円 円に近い楕円 大きく広い楕円
裏面 テカテカした緑 粉っぽい白 緑で脈上に毛 テカテカした緑
 葉柄の毛 なし なし あり なし 
鋸歯 粗く外向き 細かく内向き 浅く尖る 糸状に長く伸びる 

クマノザクラの葉

 

 全体に小型で、表面にうっすら毛があることが多く、裏面には毛がなくテカテカした光沢のある緑色です。(白っぽい場合もあります。)

 葉柄に毛はありません。鋸歯は粗めで、遠くからでもギザギザがわかります。


ヤマザクラの葉

 

 鋸歯はとても細かく、先端は内向きです。そのため遠くから見たときには鋸歯がないように感じることもあります。

 全体は長い楕円形という印象で、表面に毛がある場合もあります。裏面は粉っぽい白さがあり、葉柄に毛はありません。


❛染井吉野❜の葉

 

 輪郭は丸みが強い印象のものが多く、鋸歯の先端は鋭くとがり、やや伸びています。

 表面に毛はなく、裏面の脈状と葉柄に毛があります。


オオシマザクラの葉

 

 大型で、鋸歯の先端が糸状に長く伸びやすいのが特徴です。全体に毛がないことから、桜餅の材料として使われます。

 裏面はテカテカした緑色です。


注意すること

実際にサクラをたくさん見ていると、4種以外のサクラも見つけるでしょう。 ❛河津桜❜ エドヒガン カラミザクラ サトザクラ なども古座川町内で確認しています。

そして忘れてはいけないのが 雑種 の存在です。

雑種 を見分けるのはとても難しいことですが、たくさんのサクラを観察し続けることで、少しずつ小さな違いがわかるようになります。

 

また、クマノザクラを増やしてみたいと思っている方は、栽培方法を知ることよりも、まずサクラの見分け方について知る必要があります。そして交雑による影響についても理解しなくてはいけません。

大切なことをきちんと理解したうえで取り組むようにしてください。