クマノザクラ(Cerasus kumanoensis T.Katsuki)は、約100年ぶりに報告された新種のサクラです。古座川町には多くの美しい個体が自生していることを確認しており、池野山地区には、新種として学名を記載した論文を発表するにあたり、ホロタイプ標本(正基準標本)が採取された 「タイプ木」 があります。
古座川町では、 クマノザクラ を町花として制定しました。
私は古座川町に住む 樹木医 として、この資源を大切に守りながら、観光や苗木の生産、新たな特産品の開発など、地域の活性化につなげていこうと日々努力を重ねています。
(古座川町内の おすすめスポットはこちらのページ を参照してください。)
クマノザクラ
タイプ標本採取木
所在地
古座川町 池野山地区
(道の駅虫喰い岩より
徒歩10分ほど)
「100年ぶりの新種発見!」と言うと、「未開のジャングルの奥地で探検隊がヘトヘトになりながら歩き回った末、やっとの思いで見つけたまだ誰も見たことのない生物」を想像するかもしれません。
けれども クマノザクラ はずっと古座川町の人々から愛されてきた存在でした。
「地域の人には当たり前の存在」でも「実はそれが大発見!」これはごく稀な例だということができると思います。
もしかしたら古座川町は、世間から切り離された未開のジャングルの奥地なのかもしれません。「まだまだ世界的な大発見が待っているかもしれない。」南方熊楠もこんな気持ちで紀南の山々を見つめていたのでしょうか?
古座川町内では、ごく当たり前に クマノザクラ が自生しています。古座川に沿って少し車で走れば、誰でも簡単に美しい クマノザクラ と出会うことができます。
クマノザクラ は ❛染井吉野❜ と比較して開花の時期が早く、とても美しいことが大きな特徴です。紅葉も美しく、枝ぶりも繊細で優れていることから、年間を通じて鑑賞する価値があると考えています。
クマノザクラの花
個体によって差は大きいですが、淡いピンク色の花びらが大変美しく、葉が開くのが開花よりも遅いため、鑑賞価値が高いサクラです。 ❛染井吉野❜ に代わる緑化樹木としての活用も期待されています。
もともと日本国内に自生するサクラは、
ヤマザクラ カスミザクラ オオシマザクラ オオヤマザクラ
エドヒガン チョウジザクラ マメザクラ タカネザクラ ミヤマザクラ
の9種と言われていました。
(カンヒザクラを含めた場合10種という意見もあります。)
そこへ新たに クマノザクラ が加わることになりました。
これらをもとに人間が改良をした栽培品種などを含めると、400種ほどになるとも言われています。
おすすめスポット
古座川町のサクラ
クマノザクラの見分け方
古座川町クマノザクラマップ